学習機会の【70:20:10】

【問い】外部講師を招いた研修を導入した場合、その研修効果はどのくらいありますか?

現在、大分県の中小企業の皆様を対象に、新入社員研修、管理職研修、全社研修などを行っています。小さな組織では研修を取り入れるきっかけがない、取り入れる必要性を感じておられない、外部講師を県外から招くのは経費がかかる、などさまざまな事情があり、特に外部講師を招いた研修を実施するのはハードルが高いとお感じの経営者様も多いようです。

また外部講師を招いた研修を導入するのであれば、その成果を知りたいとお感じになる方も多く、経費も時間もかかる以上は、そのようにお感じになることは当然のことだと思います。

今日は、そんな研修を含めた「学習機会」について考えてみます。

学習機会を考えるガイドライン

米国のリーダーシップの研究機関であるロミンガー社の調査によると、経営幹部としてリーダーシップがうまく発揮できるようになったきっかけを聞くと「70%が仕事、20%が薫陶、10%が研修」という結果が出たそうです。

これをもう少し噛み砕いてみると、
学習の70%は仕事(実務経験)から起こる
学習の20%は他者との関わりやその関わりから生まれるフィードバックから起こる
学習の10%は研修など公的な学習から起こる

ということになると思います。

このアンケートは「経営幹部としてリーダーシップをうまく発揮できるようになった人」に対して行われていますが、現在では「学習機会を考えるガイドライン」として【70:20:10のフレームワーク】と紹介されることもあります。

研修の成果は10%???

この調査結果を聞いて、どのようなことをお感じになるでしょうか?私は初めてこの調査結果を聞いたときに「私のやっている研修での学びはたった10%しかないのか!」とある意味衝撃を受けました。

研修の成果は、業務の中での行動変容が起こって初めて「成果」と言えますし、研修は毎日の業務のほんの一部でしかありませんので、そんなに学びとしての割合が高くないことは理解できていますが、しかしそれにしても、あんなに時間をかけて研修の準備をしているのに、10%しかないんだなぁ、少ない。。。と感じました。

研修成果を生み出すのは、職場や上司?

実は、今年一年を通して毎月2回研修に伺う企業様があります。一度は役員を含めた全社研修、そしてもう一度は、その役員の皆様向けの「役員勉強会」です。役員勉強会とは管理職研修と同じようなもので、役職者(管理職)だけを集めた研修です。

こちらの企業様では、全社研修の導入をご希望されていたのですが、そうであればぜひ役員研修(管理職研修)をやっていきましょう!と熱くお伝えをして実現しました。私が、全社研修以外に、役員研修(管理職研修)にこだわっているのには理由があります。それは、どれだけ全社研修で社員の皆様への研修を頑張ってやっていても、役員(管理職)たちが変化しなければ、職場は変わらないと思っているからです。

役員や管理職の皆様には、全社研修と連動させた内容の研修を受講していただきながら、「管理職として何に注意をするか」という点でより学びを深めていただきます。そして、管理職の皆様に、社内で必要な行動変容を起こしていただきます。

先程の学習機会のガイドラインによると、学習の70%は実務で起き、20%は他者との関わりの中で起きます。ということは、研修で得られるたった10%の学びが生きてくるのも、現場で何も役立たずに終わってしまうのも、ほとんどが業務と関わる社員との時間にかかっているということです。

これは誤解を恐れずに言ってしまえば、管理職(上司)が研修の成果を出せるか出せないかのキーとなるということです。

管理職こそ自身の振り返りを

現在はフリーの研修講師をしていますが、それまではサラリーマンとして過ごしてきました。サラリーマン時代には様々なタイプの管理職を見てきましたが、多くの場合「自分は特別」という立ち居振る舞いをする管理職が多かったように思いますし、私自身が「課長」だった時を思い出すと「私は特別」という思いがとても強かったと思います。

「私は課長だし責任の重い仕事をしているから朝の掃除の時間でも自分の仕事を優先させて良い」という”意味のわからない”自分だけの「正論」を職場内に無理やり通していたように思います。「私は仕事ができている」「私はわかっているから学ぶ必要がない」「部下は学ぶべき」そんなことを言葉に出さなくても思っていたように思います。でも実際は、私は他の誰とも何一つ変わらない存在ですし、学んで変わるべきところはとても多かったと思います。

私が行う管理職研修では、「当たり前のこと」をお伝えすることが多いです。しかし、そのほとんどは「わかっているつもりだけどできていないこと」だと思っているからです。例えば、部下から「ちょっといいですか?」と話しかけられたら、皆様はどうしますか? 答えは「PCを打つ手を止めて相手の顔を見て話しが終わるまで口を挟むことなく、最後まで聞き切りましょう」です。これって「当たり前」のことだとお分かりですよね?では、当たり前だと分かっている「手を止めて相手の顔を見て話を聞き切る」ということをどのくらい実行できているでしょうか?

社内にはこのように「わかっているけどできてない」ことで溢れています。そして残念なことに「自分は特別だからやらなくてもいい」と勘違いをしている上司がたくさんいることも事実です。私は研修を通して、そんな「わかっているけどできていないこと」に再度向き合っていただき、少しでも現場で「わかっていること」を「できるように」なっていただきたいと願い研修を続けています。

問いの答え

最初の問いに戻りましょう。【問い】外部講師を招いた研修を導入した場合、その研修効果はどのくらいありますか?という質問への回答ですが、【その研修成果は研修後の業務や上司の関わりによって、最小にも最大にもなる】というということです。とても残念な話かもしれませんが(そして外部講師の立場である私がいうのは変な話ですが)外部講師を招いた研修を導入するだけで全てが劇的に変わることはありません。学びを大きくしていくためには、日々の業務や上司たちからのフィードバックが必要だからです。

もし外部講師を招いた研修を以前実施したことがあり、あまり成果が出なかったなと感じたことのある経営者や人事ご担当者の皆様、全社研修に管理職研修をセットにして見ませんか?そうすることによって大きく変えていくことができると思います。お気軽にお問い合わせください。

私が実施する研修を初めて導入される企業様には90分間のお試し研修がおすすめです。

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