管理職研修 年間研修テーマ
企業内で行う研修は、その目的によりますが、1回限りの「単発」で行うものよりも、「シリーズ化」して定期的に行うもののほうが、研修効果(現場での行動変容)は大きくなります。しかし、シリーズ化された年間研修を導入しようとすると、年間テーマを決め、各月の研修内容への落とし込みが必要となり、ちょっとした労力となることも事実です。
そこで、今日は、私がこの2年間、大分のある企業様で担当させていただいた管理職研修のテーマを共有させていただくことで、年間を通したシリーズ研修をご検討されている企業様の参考にしていただければと願っております。
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管理職研修の始まり
こちらの企業様が管理職研修を導入されたのは2020年のことです。それまでの研修実績はなく、初めての取り組みでした。管理職の皆さんは、自らが希望して管理職になったわけではなく(ほとんどの企業で同じだと思いますが)、どちらかと言えば管理職に対して「後ろ向き」な姿勢が多くありました。経営層と管理職が部署について面談をしていても「部下指導について、教えてもらったことがないから分からない」「自分も誰かに教わったことはない」という”言い訳”が多く、健全な話し合いが持てないこともしばしばあったそうです。そこで、経営層が「これ以上、管理職のみんなに”言い訳”をさせ続けるのは申し訳ない!! 管理職向けの研修を行なって、組織づくり、人材育成について教えていこう」と判断をされたことから研修導入となりました。
管理職研修 1年目
管理職研修を導入して1年目の研修テーマは「理念に基づくチームづくり」としました。こちらの企業様は、企業理念をお持ちでしたが、企業理念がワーキングツールとして活用されておらず、額に入れられてキレイに飾られて終わりという感じでした。しかし、企業理念というものは、会社の方向性を示し、全社員を一つにまとめていくためにも大切なものです。日常の業務の中で、ワーキングツールとして活用できていなければ意味がありません。そのため、企業理念を意識していくことを大切に伝えていきました。
また、企業理念に基づいて組織づくりをしていただきますが、その前に、それぞれに管理職としての認識を持っていただくために、管理職の心得や求められる役割についての研修を行なっていきました。
年間研修テーマは以下の通りです。
この年の管理職研修は、決して管理職の方から望まれてスタートしたものではありませんでした。そのため、突然始まったシリーズ研修に拒否反応をお示しになる方もいらっしゃいました。また研修に対して拒否反応まではないものの、久しぶりの研修についていけずに「いっぱいいっぱいです!」と感想を書かれる方もおられました。
研修では「理念に基づくチームづくり」ということを繰り返し伝えていきます。理念を元に、どんな組織を作っていきたいか、自分の部署の理想の姿とはどのようなものなのか、ワークを通して何度も何度も考えていただきました。最初の頃は、ワーク中にほとんど書くことができずに、ボールペンをくるくる回しながら唸っておられた方々も、研修中盤から終盤に入ると、スラスラと記入ができるようになりました。
全10回のシリーズが終わる頃には、管理職のみなさんは非常に前向きに研修に参加してくださるようになり、発言や質問もたくさん出てくるようになって、とても賑やかな研修となりました。そして、ほとんどの方が「来年もこの研修を受けたい」とおっしゃってくださっていました。
管理職研修 2年目
管理職研修2年目の年間テーマも一年目から変えることなく「理念に基づくチームづくり」としました。そして2年目は、1年目の学びをより現場に落とし込みをするために「講師による個別面談」を研修のスケジュールに加えました。研修は受けている時にはモチベーションが上がります。講師の話を聞いても、他の管理職たちとワークを行っても「よし!現場で頑張ろう!」と思えるのです。しかし、いざ、現場に帰ってみると、あっという間に目の前の業務に”忙殺”されて、研修内容を実行することは難しくなります。研修内容を忘れることも一つの要因ですが、学んだことをどのようにチームにカスタマイズすればいいかが分からないということもあるからです。
管理職研修2年目の年間スケジュールは以下の通りです
管理職研修に参加してくださっているお一人おひとりと講師が1時間の個別面談を行い、それぞれの部署の課題を聞き取り、研修内容をカスタマイズしてお伝えをするようにしました。管理職の皆さんも、前年の1年間を通して、講師との関係ができているので、安心していろんな話をしてくれるようになりました。
そして、管理職面談で出てきた課題で共通しているものをピックアップし、その課題に対する解決方法などを改めて研修でお伝えするようにしました。こうすることで、研修内容がより皆様のチームの課題に沿ったものになりました。
2年目の研修は毎回とても賑やかなものとなりました。ワーク終了のタイマーがなってもあちこちで話し合いが終わらず、講師としては嬉しいような困ったような時間が多かったです。2年目を迎えて、ほとんどの管理職の方が、それまでやっていなかったチームメンバーとの個人面談を取り入れてくださっていました。チーム内でも理念について話をする機会が増えたとおっしゃってくださった方が多かったことがとても印象に残っています。
研修を通して生まれた管理職の変化
2年間の研修を通して、管理職の皆様にはさまざまな変化がありました。企業理念を意識しながら行動をするようになったこと。チームのあるべき姿を考えそこに向かって協力を依頼しながら進んでいくようになったこと。それまでは、チームメンバーの成長を考えたことがなかった管理職の方は、「ワンチーム」として皆で成長をしていこう、と伝え実行するようになりました。それぞれに本当に大きな変化があったと思っています。
2年間の研修を通して、私もたくさんのことを学びました。新型コロナウィルスの影響で研修が中断したり、オンラインへの変更を余儀なくされたりと色々ありましたが、皆さんと一緒に学び続けることができてとても嬉しく思っております。
人材育成をご検討の企業様
人材育成には時間がかかります。人は一度きりの研修で変わってしまうほど単純ではありません。何度も何度も同じことを伝えて、失敗から改善を行いながら、いろんなことを考えながら変わっていくものです。果実や野菜が種や苗を植えて時間をかけて育つように人も時間がかかって育っていきます。
人材育成にはお金がかかります。研修講師を社内で立てても、外部に依頼しても、研修にはお金がかかります。しかし、企業を作っているのは「人」です。その人はお金をかけて育てていく価値があるものです。人が育てば企業が育ちます。企業が育てば、お客様や社会にできることが広がります。
人材育成には労力がかかります。研修テーマを作ることもそうですが、毎回の研修資料を準備したり、研修会場を準備したり、色々と労力がかかりますし、担当者の負担が増えることもあります。しかし、そうやって滞りなく準備がされた場所であれば、皆が集中して学ぶことができるようになります。
人材育成は、時間もお金も労力もかかります。今日明日で答えがでるものではありません。でも、時間とお金と労力をかければ、必ず、人は育ちます。企業と人のエンゲージメントが高まり、主体的に動ける人になっていきます。
これから、2060年に向けて労働力人口が約40%減少するといわれている日本社会において、企業が人を育てていくことはますます最優先事項となります。「人を育てていかないといけないなぁ」とお考えの経営者・人事の方がおられましたら、それは「今」です。今、育てることをしなければ、未来に慌てることになります。「今」から人を育てるためにできることを行なっていただきたいと願っております。
人材育成に関しまして、お気軽にご相談ください。ご相談のあと、私の研修を導入する必要はありません。貴社にとって、最も良いと思われる研修や講師を一緒に探していきたいと思います。
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