23年の新入社員について思うこと

2023年の新入社員が入社をしてから、1ヶ月が過ぎました。長めに研修期間を設定している企業でも、GW明けごろに現場配属をされるところが多いのではないのでしょうか?また、2024年卒の就職活動もより本格的に動き出し、人事の皆さんにとっては、23年入社の新入社員のフォローアップと24年の就活で本当にお忙しい時期をお過ごしのことと思います。

改めて、この春入社の皆様のご様子はいかがでしょうか? 今年も多くの企業にて新入社員研修を担当させていただいた講師として、この23年春入社の新入社員たちは、過去のどの年代とも違った年になるのではないかと考えています。今日はそんな話を少し書かせていただきます。

コロナ禍の3年

23年に高校を卒業して入社をする新入社員たちは、2020年のコロナスタートと同時に高校に入学をしています。また大学生も2年生なるタイミングでコロナ禍を迎えています。彼らにとって、コロナ禍の高校生活、大学生活はどのようなものだったでしょうか。

制限だらけの学生生活

コロナ禍を一言で言い表すとするならば、それは「制限」という言葉であったと思います。「外出制限」「人とのコミュニケーションの制限」など、さまざまな活動が制限をされました。コロナ禍の学生生活を過ごした彼らもそれは同じように「制限」のある学生生活でありました。

一般的に、高校生活・大学生活では、どのような活動があるのでしょうか?日々、授業をうけ、声に出して意見交換をする、体育や課外活動では、外で運動や活動を行う。部活動に参加する学生もいるでしょうし、大学ではサークルに入って活動をする学生もいるでしょう。学園祭、体育祭、修学旅行など、たくさんの活動があります。また、大学生になると、アルバイトをする学生も多いと思います。

そのような活動のほとんどが「制限」された学生生活を過ごしています。それだけではなく、楽しく会話をしながら給食を食べる、クラスの中で声を出して意見を出しあう、相手の顔を見て、大声で笑ったり、人を応援したり、そのようなことまでもすべて制限されていました。

実際に今年の新入社員研修では、皆さんにどんな学生生活だったかを聞いてきましたが、「オンラインの授業になり家から受けていました」「部活は最初の1年しかできていません」「アルバイトはかなり減らされてしまいました」などと教えてくれました。

学生生活で経験する「失敗」

多くの人は、学生時代の経験を通してたくさんのことを学びます。時には、「失敗」をしたり「挫折」を味わったりしながら、大人になる準備をします。例えば、アルバイトの経験から失敗をすることを体験します。お店で店長や自分より年上の大人と接しながら、挨拶の大切さを学んだり、段取りよく仕事を進めること、片付けをすることなど、仕事に必要なことを学んでいきます。時には、お客様の前で失敗をして、お叱りを受けることもあり、落ち込んだり、自分のダメさを感じたりしながら、しかしそこからまた学んで、成長していきます。

コロナ禍に学生だったみなさんにはその「経験」がありません。失敗や挫折をしなかったわけではなく「できなかった」のです。失敗や挫折を始めとする「成長」のための経験がすべて制限されています。通常は、学生時代に多くの経験を通して「社会人になる練習」を行いますが、その練習がほとんどできないまま、この4月にぶっつけ本番で社会人になりました。

敬語を使ったことがない20歳

先日、ある中途採用者の個人レッスンを行いました。彼女は18歳で高校を卒業し、その後、コロナもあり就職できずにいたそうです。今年の初めにある会社に就職をしましたが、電話の応対が苦手だから個人レッスンをして欲しいということでした。敬語をほとんど使えない状態でしたので「接客のアルバイトなど経験はありますか?」とお尋ねしたところ「コロナだったのでアルバイトはしたことはありません」という返事でした。この返事にはとても衝撃を受けました。アルバイトをしたくてもできなかった。接客を通して敬語を使う場所を作ることもできなかったのです。

新入社員が過ごしてきた時間は想像以上

会社側の人間として、また一人の社会人として、新入社員を迎える時に、忘れてはいけないことは、彼らが過ごしてきた3年間は私たちオトナが過ごしていた時間からは想像できないほどに「制限」がかかっていたということです。経験をしなかったわけではなく、できなかった。進学をするとほぼ当たり前に行われてきた様々な行事がなかったわけです。

新入社員研修で伝えたこと

今年の新入社員研修では、例年以上に「失敗をすること」の重要性について伝えてきました。新入社員の皆さんにとってはぶっつけ本番での社会人なわけですから当たり前にたくさん失敗することがある、ということです。そしてその失敗から学ぶことで大きく成長ができる、ということです。

研修に参加をした新入社員たちは失敗に対して、とても怖がっています。コロナ禍前の学生がアルバイトや学校生活で失敗をしていたとしても、やはり失敗は怖いのですから、様々な経験が未経験の彼らにとって、怖いことは当たり前のことです。それでも、失敗から学ぶこと、それが成長につながることを丁寧に伝えていくと、失敗を恐れずに行動をしないのではなくて、失敗をしても学べばいいんだというマインドに変わっていきました。

入社後のフォロー

皆さまの企業では、今年の新入社員の皆様はいかがでしょうか?新入社員には、入社後に「自分から積極的なコミュニケーションをとること」が求められます。毎年のように企業からは「今年の新入社員は元気がない」「指示待ちが多い」「自分からのコミュニケーションをあまりとらない」などの声を聞くことは多いのですが、23年の新入社員に関しては、おそらく、今まで以上にそのような声を聞くことになるのではないかと思っています。

行動制限がかかり、活動したくても活動できない状況で、コミュニケーションをとる練習もできていません。そんな彼らに突然「コニュニケーションは自分から取るものだ」と話をしてもそれは無理があります。もちろん新入社員側のマインドセットは必要ですが、それ以上に迎える会社側の配慮も必要だと考えています。

どうぞ彼らが過ごした「制限」の3年間を念頭に、いつも以上に丁寧な声がけを行なってください。そしてどうぞ先輩の皆さんが今まで行ってきた「とびきりの失敗」を共有してあげてください。そうすることで、彼らも安心して行動を取ることができるようになります。

フォローアップ研修を行ってみませんか?

新入社員の皆さまへのフォローアップ研修も行なっております。十分な新入社員研修ができていなかったとしても、6月ごろに改めて社会人としての心得を伝えていくことはとても重要なことです。実際に数ヶ月間働いてから受ける「社会人としての心得」はより学ぶことが多くなります。またこのタイミングで改めて「敬語」を含む基礎的な「ビジネスメール」「電話応対」の研修も効果的です。ぜひご検討ください。

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