研修冒頭で確認する2つの前提
先日、報連相オンライン個人セミナーを受けて下さった方の「報連相セミナー受講生の声」をご紹介しました。
受講生の方は「報連相は上と下をつなぐ一本の線だと思っていた。でもそこにはたくさんの要素が含まれていることが分かった」と言ってくださいました。
私は管理職研修や新入社員研修などの企業研修を担当させていただくときに、ほとんどの研修の場合、その研修本題に入る前に、【企業とは何か?】というお話しと【集団とチームの違いは何か】というお話しをさせていただきます。これは、企業とは何か、という前提を全員で確認しておかなければ、どんな研修も意味を持たなくなってしまうからです。
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企業とは?
【企業とは?】という問いにはそれぞれの定義があるかもしれませんが、私はいつも以下のように定義します
企業とは、企業理念の実現に向けて一人ではなし得ないことを協力し合いながら実現していく人の集まり、組織のこと。キーワードは「協働」
企業は最初に会社を立ち上げた人(社長や創業者)の想いがあって初めて生まれます。社会にないサービスを創りたい、もっと良い社会にしたい、など熱い思いを持って起業します。しかし、社長一人では仕事をしていくには限界があります。専門分野の知識を自分が持ち合わせていなければ、他に求める必要があるかもしれません。そんな時に、社長の熱い思いに共感した人が集まって、社長一人ではなし得ないことを、また自分一人でもなし得ないことを【協働し合いながら実現させていく組織】が企業です。
だからまずは、自分が勤めている会社において、社員のみなさんは「企業理念の実現に向けて集められた人」であることを知ることが必要ですし、もちろん、自分も企業理念実現を目指す必要があります。そこは仲良しクラブではありません。みなが目指すべきは「企業理念の実現」です。
集団かチームか?
そのうえで、集められた人たちは【集団】であるのか【チーム】であるのかを考えます。集団とチームの違いは何でしょうか。職場における集団とチームの違いは以下の要だと考えています。
集団:人の集まり、自分の仕事にのみ責任を持つ人の集まり、集団の成果は人数の和
チーム:目標の実現を目指す人の集まり、自分の仕事以外に相互に責任を担い合う。チームの成果は人数の和+α
集団というのは、個人の仕事に責任を負う人の集まりです。しかし、チームというのは、お互いの仕事に責任を負い合う人の集まりです。そしてこのチームは目標の実現を目指しています。企業でいえば「企業理念の実現」です。
最初に話をする理由
例えば、「報連相研修」を担当するときに、最初にこの2つの話は外せません。「なぜ報連相をする必要があるのか」というそもそもの前提がないとどれだけ「報連相は必要」と学んだところで報連相は生まれないからです。私たちは「理念の実現」をするために集められていて、「チーム」としてお互いの仕事に相互責任がある。だから、積極的に報連相をして、お互いの仕事を円滑に進めていこう、ということです。そして、その報連相のためには、報連相が生まれやすい職場づくりをする必要がありますし、報連相をする人を育てていかなければなりません。そこには「職場づくり」と「人材育成」が必要です。でも、それは何のために?【チームとして企業理念を実現させるため】にです。
定期的に社員全員で企業理念を見直し、自分たちが何のために集められているチームなのかを確認し合う時間をぜひ持っていただきたいと願っております。