なぜオンライン研修は研修内容を忘れてしまうのか
昨日、見つけた【株式会社PLOWの加藤ことツイッター名マダム】さんの以下の記事は、今年の新入社員達について書かれているとても良い記事でした。
これを読みながら、その通りだなっと思ったのですが、特に最後の文章にある
新人研修から時間が経っている+オンラインのため新人研修の内容を新人はすっかり忘れていて行動できないという前提で接する
という言葉にはとても納得しました。
そして、改めて「リアル研修」と「オンライン研修」の違いを考えてみました。
正直なところ、新入社員研修は、リアルであっても、オンラインであっても、それほど劇的に新入社員たちを成長させるものではないと思っています(もちろん業界によりますが)。マダムさんも書いておられる通り「マインドセット」の部分が大きく、「社会人と学生の違い」について理解し、行動できるようになるという部分が新入社員研修に求められるのではないでしょうか。だから、新入社員研修を受けた後に「仕事がメキメキできるようになる」ということではないし、会社側もそれを第一条件として求めているわけではないと思っています。
ただ、リアルな研修の場合は、新入社員研修を受けた後に、配属部署に戻り、自分の仕事の続きをしたり、近くで先輩や上司の仕事を観ることになります。会社にかかって来る電話を取り、来客の対応をし、先輩に報連相に行きます。そのようなリアルな日常のなかで、さきほどまで学んでいた新入社員研修の内容を現場にすり合わせていくのだと思うのです。
例えば、「報連相」について学べば、部署に戻った後に、先輩へ報連相をするタイミングを考えて、メモを持って、席を立って、先輩の顔を見ながら報告に行くでしょう。しかし、オンラインで報連相研修を受けた場合、メモを持って、席を立って、先輩のところに行って、報告をすることはできません。周りを見渡せばそこはいつもの自分の部屋です。報連相をしたい場合は、PCの画面越しに、またはチャットで先輩に話しかけ、報告をするだけです。もちろん「結論から内容の順番で」ということは、研修で学んだ通りオンラインでもできますが、先輩の様子を伺いながら、席を立って、移動して…というような「タイミングを図る」ことはオンラインでは難しいのが現状です。オンライン研修の場合は、その学びがリアルにつながりにくいのです。
新入社員たちの多くがとても不安に感じている「ビジネスマナー」などはその典型でしょう。新入社員研修では、名刺交換や席次の内容になるとそれまで眠そうにしていた社員たちも前のめりになって話を聞きます。それは彼らの不安の表れです。名刺交換は研修中に何度も練習をして、ドキドキしながらリアルな現場でお客様と名刺交換をして、少しずつ身体に覚えさせていきます。でも名刺交換は、オンライン研修では、思うように練習はできませんし、リアルな現場に戻るまでに時間がかかれば、すっかり忘れてしまうでしょう。
オンライン研修で学んだ内容は、オンラインの環境化では「試す」場所も「失敗」する場所も少ないということなのだと思います。だから研修内容を忘れてしまうのです。【学ぶ⇒試す⇒振り返る⇒改善する】が起こりにくい環境だからなのだと思います。だからこそ、リアルに戻ったときには「忘れている全体」で接することは非常に重要なことです。今は、オフラインに戻ることを前提とした新入社員研修が行われていますが、オフラインに戻ることが前提であるならばこそ、オフラインに戻った時に、「もう一度」リアルの場面で教える、ということを大切にしていきたいと思います。
今後、働き方が変わっていくなかで、オフラインに戻らないことが前提となる日が来るかもしれません。その時には、オンライン上で必要な仕事のやり方やオンライン上のマナー、など新しい内容の研修が進められていくのだと思っています。
そして、今年の新入社員のみなさまへ。
今、とても大きな混乱の中にあると思いますが、どうぞみなさまは、リアルに戻った時に「やっぱりオンライン研修を受けた新人はダメだな」なんて誰にも言わせないように、今、しっかりと学んでくださいね。
研修をお考えの人事の方、混乱の中にあっていろんなことに不安を抱えている新入社員のみなさま、いつでもお気軽にご相談下さい。お問い合わせは⇒⇒こちらまで