研修を成功させるカギ

研修後にいただいた質問

先日伺った新入社員研修での出来事です。
研修が終わって解散となった時に、新入社員のお一人が私のところまで来てくれました。

「あの、とても話が聞きとりやすくて、分かりやすかったのですが、どんなことに気を付けて話しておられますか?

研修内容そのものへの質問ではなくて、このような質問をいただくことはよくありますが、新入社員研修でこの質問をいただくのは初めてのことでした。

話す相手は誰か、その相手に何を伝えないといけないか、それを何度も自問して、明確にすること、かな」とお答えしました。

研修を創る ステップ1

研修を作成する場合、第一に「相手は誰か」を考えます。受講生は誰なのか、新入社員か管理職か一般社員か。ビジネスセミナーの場合は、業界も会社も雇用形態もまったく違う人たちが集まることがあります。
誰に向かって話をするのか」が明確になると、どんなレベルで話をすべきかが分かります。新入社員であれば、話のスピードはよりゆっくり、丁寧に話をする必要がありますし、一般的なビジネス用語も優しく伝える必要があります。相手が管理職であれば、組織の内情に踏み込んだ話もできるようになります。

研修を創る ステップ2-1

第二に、「何を伝えるか」を考えます。今回の受講生に「絶対に伝えないといけないことは何か」を考えると同時に、発注元から頂いている研修の「裏の目的」を考えることもあります。研修の裏目的とは、受講生に対して伝える「表向き」の研修目的以外に、今回の研修を通して実現したい「裏目的」が存在することがあります。例えば、表向きには「新入社員としてビジネスマナーの基礎を学んでほしい」というオーダーですが、その研修を通して「新入社員どうしの距離を縮め、仲間意識を強くしたい」という裏目的があるような場合です。このように裏目的がある場合は、その裏目的に合わせた流れにします。先ほどの例でいえば、通常の研修より、グループワークを多めにする、メンバー同士が助け合わないとできないワークを導入する、毎回、名前を呼び合ってワークを進めるようなルール決めをする、などです。このように、表と裏を意識しながら、研修を通して「何を伝えるか」を考えていきます。

研修を創る ステップ2-2

また、研修を通して何を伝えるかを考える場合に、その優先順位も考えます。

A)絶対に伝えないといけないこと(メインメッセージ)
B)研修内容としてつたえるべきこと
C)時間がない場合は、資料として後ほど見直してもらえればOKなこと
D)時間がある場合に伝えればよいレベルのこと

などです。A)のメインメッセージは、研修中に繰り返し伝えていきます、何度も資料を登場させ、何度も言葉として伝え、研修中に印象を付けます。D)の内容は、時間があれば伝える、くらいのものですので、時間がない場合は、潔く割愛できます。

ご提供できる価値

こうやって「誰に対して」「何を伝えるか」を明確に、そこにあった準備をしていくのが研修準備の第一歩です。そしてそのうえで、「私に提供できる価値は何か、私にしか提供できない価値は何か」を自問します。「私がこの研修を行うことの意義」を作っていくのです。

この準備を省いてしまって、「ただ喋る」という作業だけにしてしまうとその研修は「講師がしゃべって満足」の研修で終わってしまいます。

研修の主役はあくまでも受講生。相手のことをどれだけ思って研修を作れるかが研修を成功させるカギなのだと考えています。

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