人と業務内容を切り分ける
私は、普段、フリーの研修講師として活動をしています。大分県内にある企業さまに向けては、対面式の企業研修を、またオンラインを使っては、全国の企業さまや個人の方向けの企業研修や個人サポートをしています。
そして、研修が入っていない日には、地元の歯科医院で歯科助手として働いています。去年の5月から始めた歯科助手の仕事は、未知なる世界過ぎて、こんなにも自分の経験が使えない世界があるのかと驚いていましたが、1年経って、最近ようやく自分一人でもできることが増えてきました。
しかし、一人で出来ることが増えていても、もちろん技術的には未熟ですし、時間がかかることもあります。また、私の責任ではなく、そもそも、とても難しい治療や作業を必要とする患者さまの担当になることがあり、どうにもならないくらいに大変なこともよくあることです。
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2時間かかる治療
先日もそんな患者さまを担当しました。先生が治療をされますが、歯の形、患者さまの状況などさまざまな要因が重なり時間がかかる治療となっていました。その後、先生から依頼された作業を行っていきながら、治療のサポートをしていきます。しかし、この作業もまた難しく、時間がかかります。
全部が終わった時にはすでに2時間が経っていました。2時間もずっと診療のための椅子に座ってくださっている患者さまもお疲れになりますし、私のユニット(診療室)が動かないことでほかの患者さんを担当することができず、一緒に働いている先輩スタッフのみなさんにもご迷惑をおかけしていました。無事にすべての行程が終了し、患者さまがお帰りになる際に時間がかかったことを謝罪し、そのあと、先生のところに行き「時間がかかってすみませんでした」と謝りにいきました。
先生からの一言は「おもしろいこというね」
先生は笑いながら「おもしろいこというね」とおっしゃいました。これは想定外の返答でした。「あの患者さんへの治療は、●●で、××だから、すごく時間がかかるし大変なの、中尾さんの責任じゃないから」と笑ってくださったのです。
私は、私の技術が未熟ゆえに時間がかかってしまった部分も多くあることを思いながら謝罪に行ったのですが、「あなたの責任ではない」と言ってくださったのです。その一言で、ずいぶんと気持ちが軽くなり、そのあとの患者さまの対応にもすぐに入っていくことができました。
ストレスがかかる現場こそ人と仕事を切り分ける
この先生の言葉から学ぶことが多くありました。自分自身が若手社員のサポート役として動く必要がある現場でストレスが非常にかかった場合、そのあとに、「あなたの責任ではないよ」と笑ってやれるか、ということを考えてみました。きっと、私だったら「もっとあの時に、●●しておけばよかったよね」「技術的にこうしておけばよかったよね」と若手社員のそれまでのプロセスに対してあれこれ注文を付けていたのではないかと思っています。たった一言「あなたの責任ではないよ」とは、笑ってやれなかっただろうなと思っています。
ストレスがかかった現場では、若手社員もそれなりにストレスを感じています。自分が何か悪かったのだろうか、もっと自分が仕事ができればこんな大変なことにはならなかったんじゃないか、などを考えて「申し訳ない」と考えることがあるはずです。しかし、その現場が、明らかに若手社員の責任ではなく、誰が担当しても同じようにストレスがかかる現場であることが分かっているなら、その時には「あなたの責任ではないから気にしなくていい」と伝えてやることはとても大切なことだと思いました。
みなさんは若手社員に対してどんな声かけができているでしょうか?ストレスのかかる大変な現場だったからこそ、そのあとは笑って声をかけてあげていただきたいと願っています。
社内の職場づくり、人間関係の改善、人材育成・定着などで研修の導入をお考えの時にはどうぞお気軽にご相談ください。研修の導入に至らなくてもご相談だけでも構いません。