研修終了時刻だけは絶対に守るようになった”きっかけ”
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終了時刻を意識しなかったころの私
現在は、大分県を中心に企業研修、管理職研修、新入社員研修などを担当させていただいております。研修講師歴は今年で11年目となりました。
研修講師としてデビューしてからの私は、受講生のみなさまに「伝えなければいけないこと」を伝えることに必死で研修の終了時間になってもそのまま講義を続けるということが多々あったような気がします。まぁ余裕がなかったといえばそれまでですが、研修の「終わり」の時間を深刻にとらえていなかったのかもしれません。
きっかけ
講師として5年が過ぎたある時、私がとてもとても尊敬している方のセミナーを受けるチャンスがありました。就活中の大学生向けに90分間「志」について話をしていただくという内容でした。私はそのセミナーの主催者として講師の方と事前に打ち合わせをし、何十ページとあるPowerPointで作られたセミナー資料をいただいていました。
当日、セミナー資料をPCにセット、プロジェクターに投影します。30名ほどの学生を前にセミナーが始まりました。自己紹介があり、本日の研修のルールが発表されています。テーマが投げられ、学生たちはグループワークで意見を出し合い、発表をしていきます。講師が一方的にしゃべってばかりではなく、参加者に十分に時間を与えて話をさせる、そして、一人ひとりの発言を大切にして、フィードバックを入れてくださいました。
気が付くと、セミナー資料のスライドは3分の1も終わっていない状態で、セミナーの終了時刻まであと半分を切っていました。
そんな時、グループワークをさせている最中に、講師は、受講生から見えないホワイトボードの後ろに回り、この後のセミナーの構成を作り直しておられました。そして、何事もなかったかのように、セミナーを継続。結局資料を3分の2以上残したまま、会場は大きな満足感に包まれて終了時刻ぴったりにセミナーを終えました。
このセミナーは私に衝撃を与えました。
資料は3分2以上が残ったままでしたがセミナーが終わった後に残った受講生の満足感は圧倒的に高いものでした。
きっと私だったら「あと15分だけ延長してもいいですか?」と聞きながら、作ってきた資料をなんとかすべて使いきろうと思っていたはずです。時間をかけて準備したから、全部見てほしい、と思っていたかもしれません。でもその講師の研修は、「自分都合」では一切なく、最初から最後までが「受講生」のための研修になっていました。
講師として当たり前のことに気づけた
この日から私は、研修の終了時刻を定刻通りに終わらせることを徹底するようになりました。決められた時間の中で、何を伝えないといけないのか、絶対に伝えるべきこと、削ってもいいことを、明確にしてから研修に臨むようになりました。与えられた時間内に、話し終わること、プロとしては当たり前のことをようやく意識できるようになった瞬間だったと思います。
この時の経験が今の研修でも生きています。研修は終了時刻ぴったりに終わらせるということを徹底しています。今ではほとんどないことですが、どうしても、どうしても5分だけオーバーしてしまいそうなときには、「5分だけオーバーしそうです。よろしいですか?もしお仕事がある方は退席されてください」とお伝えします。
時間が守れない研修は、結局は受講生ではなく講師が主役になっている研修です。研修の主役はあくまでも受講生のみなさま。講師は与えられた時間の中で伝えなければならないことを、一番分かりやすい方法で伝える、それが仕事です。
これからも受講生の方を主役に、与えられた時間内で精一杯の研修をお届けしたいと願っています。