管理職面談より〜ある方の大きな変化〜

去年から2年間、毎月管理職研修に伺っている企業さまがあります。大分県別府市の風情ある温泉街にある企業さまです。今日はそんな企業さまで出会ったある管理職の方の物語です。

個別面談を導入した背景

去年1年間は、毎月1度、年間テーマに基づいて研修を行いました。現場での人材育成やチームづくりに悩んでおられた管理職の皆さんは、研修が終わるたびに「こういう話を聞きたかった!」と口々に感想を伝えてくれていました。

しかし、実際に、研修で学んだことを自分の事業部で導入をしようとすると、どうしてもうまくいかないことが出てきます。チームメンバーにはチームメンバーの考えや言い分がありますし、突然管理職から「今日から〇〇を導入します!」と言われても、「そんな急にどうしたの?」「何?今さら」という反応があってもおかしくありません。またチーム構成や勤務年数によっては、研修内容をそのまま当てはめるよりも、少し変化を加えることでうまくいくこともあります。そのような各事業部の持つ課題を、個別に直接伺い、講師が管理職と伴走することで、研修内容をよりチームに還元し成果を出していくことを目的として、今年からは、研修の他に個別面談を導入しています。

ある管理職の変化

この企業様で出会ったある管理職の方がおられます。名前はYさん。去年研修が始まったすぐにはYさんが、一番研修に対して「乗り気」ではありませんでした(講師にはそのように見えていました)。研修会場に入ってくるときに、少し頭を下げるだけで、特に挨拶らしい挨拶はありません。会場の中も、いつも気怠そうに歩いています。ワーク中もほとんどペンが進まずに、空欄であることも多かったです。研修の振り返りシート(アンケート)にも「よかった」とか書かれるだけで具体的なことなどわからないままでした。

しかし3回、4回と研修が終わることには、Yさんに変化が見えるようになりました。まずは、研修の振り返りシート(アンケート)の内容量が増えてきました。「今日の研修は〇〇の学びが大きかった。具体的にチームで〇〇しようと思う」など前向きに研修内容をチームに還元しようという姿勢が見えるようになりました。また、「前回の研修をチームに取り入れたけど、こういう反発があった。どうすれば良いですか?」というような話を研修後にしてくれるようになりました。

会社への不満を溜めた管理職

今年に入り、このYさんを含めて、全管理職の方と個別面談をしていますが、初回のYさんの個別面談は会社への不満が多かったように思います。会社のやり方や考え方が見えずに、不安と不満がある、現場も疲れている、そんな会社を変えたくて、色々と提案をしているが特に回答はないし、役員たちはこの会社の未来をどう考えているのかもわからない、という怒りとも取れる思いが溢れていました(実はYさんからだけではなく他の管理職からも似たような意見はありました)。

初回の面談時にはすでに1年間の研修を終えていましたので、管理職の皆さんも講師に対しての信頼を持ってくださっていました。だからこその本音を出してくださったのだと思いつつ、決して少なくない管理職の方が会社への不満と不安を口にされたことは、想像していた以上に衝撃的でした。不安と不満の理由は色々ありましたが、総合的にいえることは、「社長(役員)と管理職の対話不足」ということだと感じました。

個別面談が終わった後に、その内容をまとめて、社長と役員の皆様にご報告をしました(管理職の皆さんには私から社長に伝えて良いかを全員確認をしています)。対話不足から管理職が会社の未来に不安を感じていること、また管理職自身も部下と対話不足であることを伝えました。

管理職と一緒に作る研修

その面談のあとに予定をされていた研修から、私も大きく研修内容を変えました。面談を通して見えてきたこの企業様の課題を研修内容に落とし込み、今まで以上にディスカッションの時間を増やしていきました。そして何よりも「会社の未来を作るのは私たち一人ひとりだ」というメッセージを伝えていきました。「上が悪い、上が何もしない」と上の文句ばかり言っていても何も変わらない。自分たちで会社の未来を考えていこう、自分たちで部下へメッセージを伝えていこう、素晴らしい理念を実現していこう、そんなことを研修のメッセージとして伝え続けています。

Yさんの変化

そのように今年に入って、研修と個別面談が同時に進んでいますが、先日Yさんから個別面談を依頼されました。「研修で教わったことをチームでやってみたけど、このあとのことを悩んでいるから話を聞いてほしい」という内容でした。Yさんはチーム内で、このチームを良くするために何ができるか、メンバーはどう考えているかをアンケート形式で確認をしていました。

そして、あるメンバーさんのアンケートを読んでくれました。「この会社は何も変わらない。どこに進もうとしているのかわからない。社員を褒めることをしないし、フォローもしてくれない」メンバーさんのアンケートにはそんな内容が書かれていました。

このアンケートを読んだ後に、Yさんが「昔の自分みたいですよね。上(会社)の文句ばかりで、でも特に自分から何もやろうとしていなくて」とポツリとおっしゃいました。

Yさんにこの後のことをお尋ねすると「まずは面談をして話を聞いていきます。一緒に(会社を良くするために)何ができるかを考えていこうと思います」と話をしてくれました。

この2年間の時間はYさんを大きく変えたのだとそのときに確信しました。2年前のYさんであれば、メンバーのこの意見を読んで「そうだそうだ」と思うだけだったかもしれません(アンケートを取るということすらしていないと思いますが)。しかし、今は「だったら自分たちに何ができるだろう」を考えて行動してくださるようになりました。

研修の成果

研修は「共通言語」「共通意識」を作っていきます。その共通言語と共通意識は人と組織を動かしていくものです。しかし残念なことですが、それは短期間で実現できるものではありません。一回の研修だけで実現できるものでもありません(効果はゼロではないないですが)。時間はかかるものですが、しかし時間をかけて丁寧にそして本気で向き合っていくと、こうやって変化が起こるのだと立証してくれたと思っています。

このYさんの変化はきっと小さな変化です。しかし、組織を変えていく大きな変化になると思っています。

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