研修は時間の長さより回数の多さで効果が出ます
今回いただいた質問
研修を計画しようと思います。せっかく研修をするので朝から夕方まで7時間の研修をした方が良いと思うのですが、どうですか?
大分県の中小企業様を中心に、管理職研修や新入社員研修、また全体で行う研修を担当させていただいております。研修は事前に数回の打ち合わせをしながらオリジナルの内容でお作りしておりますが、研修の打ち合わせの時によくいただく質問です。
せっかく研修をするのだから長時間しっかり学んでほしい、という経営者や人事部の皆様のお考えも理解できます。これはもちろん研修の目的や内容によって、変わってくることは言うまでもありませんが、社員様の行動変容を目的としている場合の研修であれば「7時間研修をする予算がある場合は、2時間の研修を3回行いましょう」とお答えをしています。
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長時間の研修が有効な場合
研修は6〜7時間で計画する場合もあります。例えば、去年、ある企業様にて管理職研修を担当しましたが、こちらでは管理職の皆様で、自社に潜むリスクの書き出しや今後どのように理想のチーム(部署)を作っていくのかをじっくりと考えていただきました。特にリスクの書き出しでは、付箋を使って思いつくものを書き出していき、貼り出していきながら、意見交換をしました。自分たちのグループだけではなく、他のグループの意見も確認しながら、今後、管理職として何ができるのか、どのような手を打っていく必要があるのかを考えた時間でした。
このような、じっくり考えて、意見交換をしながら、自分たちの今後の動きを決めていく研修の場合は、6〜7時間の研修時間が必要です。長時間の確保ができない場合は、中途半端に終わってしまいます。
また、新入社員研修のように「研修期間中」の場合は、6時間程度の研修が必要となるでしょう。業務に配属される前に、社会人としての基礎力やマナーを身につける、または業務に必要な知識やスキルを学ぶような場合は、まとまった時間が必要になることは言うまでもありません。
行動変容を起こすための研修は時間よりも回数を重視
一方で、例えば「チームのコミュニケーションを活発にしたい」「チャレンジするマインドを持ってほしい」「生産性の高い仕事のやり方を身につけたい」など「行動変容」を必要とする研修では、2時間〜3時間の研修を複数回行った方が有効です。研修と研修の間隔は1ヶ月〜3ヶ月くらい。もちろん、1ヶ月に1回の研修を行えるとベストです。
第1回目の研修で、基本的な知識やスキル(Howto)をお伝えした上で、研修が終わってから次の研修まで、日々の業務でどのような行動をとるかを受講生に決めていただきます。「これをやってみる!」と決めてから、日々の業務に戻り、アクションプランを実際の業務に落とし込んでいく。そんな毎日を過ごしながら、次の研修を迎えます。
第2回目の研修では、前回決めたアクションプランについて、実行できているかを確認します。実行している人には、どのような変化があったのかをお聞きしますし、実行できていない場合は、どのようにすれば実行できるかを考えていただきます。そして、前回の研修を振り返りつつ、次の研修のテーマに入る。
これを繰り返していくうちに、それぞれの行動変容が起こってきます。毎回の研修で「先月からの1ヶ月間、どんなことに取り組んできましたか?」と聞かれるわけですから「何か行動を起こそう」と思うようになるのです。また、研修で一緒のグループの人が、行動をしたことで良い変化を起こしていたら、「自分もやれるかもしれない」「自分はただやってなかっただけだな」と自分の姿勢に気づくようにもなります。そうなるとますます人の行動は変わります。
そして何よりも「人は忘れる動物」です。同じことを何度も何度も聞いて、やっと理解して落とし込みができます。忘れる動物であることを前提に研修を作っていけば、もちろん研修は複数回実施した方が良いという結論になります。
複数回の研修であれば、1回の研修時間は短くても良いのか?
複数回の研修を行うのであれば、1回の研修は60分程度でも良いのか、ということも併せてお尋ねいただきますが、やはり最短でも90分が良いかと思います。社員が集合して行う研修では、意見交換をしながら、そこでの気付きが研修の効果をより高めていくものです。特にサイロ化が進んでいる組織などでは、研修の機会を使ってそれぞれの部署を超えた意見交換ができる絶好のチャンスです。それを考えると60分の研修では少し短すぎると考えています。
60分の研修に登壇した時の気づきを書いておりますので、こちらも併せてどうぞ
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研修はその目的とテーマによって、長時間が良いものもありますが、基本的には「同じ予算をお使いになるのであれば、長時間の研修より、回数を重視してください」とお伝えをするようにしています。そちらの方が、より研修にかかる経費を効果的に使えると考えているからです。
研修の効果を最大限にしていく時間や方法など、企業研修に関して疑問に思われることなどがあれば、いつでもお気軽にご連絡ください。色々とご相談いただいた上で、やっぱり講師としての依頼はせずに自分たちで研修を行うことになりました、ということでも構いません。大切なことは研修を実行していただくことです。
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