働きやすい職場づくり【ハード面】

先日、大分県佐伯市にお邪魔して「働きやすい職場づくり」のためのセミナーを担当させていただきました。厚生労働省からの委託事業として開催されているものです。佐伯市の事業所さまが約10社集まる集合型セミナーとなりました。このコロナ禍にあって、対面式でセミナーが開催できたことは本当に嬉しいことです。

働きやすい職場づくりに必要な2つの要因

さて、みなさんは「働きやすい職場」と聞いてどのような職場をイメージされますか?「職場の人間関係にストレスがない」「チームワークが良く仕事がやりやすい」「残業が少ない」「急な休みにも対応してもらえる」などいろいろなイメージがあると思います。今回のセミナーでは、「働きやすい職場づくり」のためにできることとして、雇用管理制度を整える【ハード面】と職場環境を整える【ソフト面】の二つのことをお伝えしてきました。

今回は、その【ハード面】に関してお伝えし、次回は、【ソフト面】に関してお伝えをしていきます。

「働きやすい・働きがいの意義」とは

平成26年に厚生労働省が「働きやすい・働きがいのある職場づくり」プ ロジェクト企画委員会を設置し、中小企業における雇用管理制度等の実施状況. と、「働きやすさ」「働きがい」との関係などを探るため、中小企業の人事担当 者や従業員に対するアンケート を実施しその結果をまとめています。【働きやすい・働きがいのある 職場づくりに関する調査 報告書

この報告書の冒頭「働きやすい・働きがいの意義」には、中小企業が今後雇用を創出していくうえでも中核的な担い手となることが期待されていますが、しかし採用が難しかったり、人材が定着しないというような課題もあるとしたうえで、魅力ある企業となって行くためには、従業員に「働きやすい・働きがい」があると感じてもらえる職場づくりをする必要があると書いてあります。そして、以下の文章が続きます。

「働きやすさ・働きがい」は、従業員の主観的な認識であり、企業側としては、直接的に「働きやすさ」や「働きがい」を実現することはできないため、雇用管理上の様々な取組みを実施することを通じ、従業員の「働きやすさ・働きがい」の実現を図っているところである。

事業主がコントロールできる雇用管理上の様々な取り組みを実施することにより従業員が「働きやすい・働きがいがある」と感じることのできる企業を作り人材定着を目指しましょうということです。

雇用管理制度の中身【ハード面】

この厚生労働省がまとめている報告書にある「事業主がコントロールできる雇用管理制度」には、以下の8つが含まれます。

1)評価・処遇制度
2)人材育成制度
3)業務管理・組織管理
4)人間関係管理
5)福利厚生
6)労働条件(労働時間・休日)
7)労働環境(安全管理・精神衛生)
8)仕事と家庭の両立支援制度

セミナー中に行ったワーク

今回のセミナー冒頭には、3つの問いかけをしました。

①なぜみなさんは働きやすい職場づくりをしたいとお考えですか?
②みなさんが理想とする働きやすい職場とはどのような職場ですか?
③働きやすい職場をどのくらいの本気度で作りたいですか?

そして、上記の雇用管理制度を資料を使って確認したうえで、2つのワークを入れました。

①自社の雇用管理制度の現状を整理する 
②理想とする働きやすい職場における雇用管理制度を考える 

というワークです。自社の現状の整理はスラスラと書けていた方も、理想の状態を考えていくときには手が止まることもありました。普段あまり考える機会のない雇用管理制度について「理想を書く」と突然言われても難しいことだと思います。

【ハード面】雇用管理制度について考える

働きやすい職場づくりを実現させていくときに、整えるべき【ハード面】の一つは、上記の雇用管理制度です。この項目を一つずつ考えて、従業員の働きやすさ・働きがいを実現していく必要があります。「働きやすい職場づくり」という言葉だけを聞くと、とてもシンプルに聞こえますが、雇用管理制度だけでも少なくとも8つの項目があり、その8つはとても複雑に絡み合っています。これは簡単に改善できることではありませんし、実現していくためには、お金も労力も必要になっていきます。

理想とする働きやすい職場

働きやすい職場づくりに関して「答え」をお求めになる人もいらっしゃるかもしれません。「働きやすい職場とは、残業時間が月に●時間以内、給与は●●円くらいで、有給取得率が●%です」と講師が伝えることを期待される方もおられます。しかし、それを講師から聞いたところで、その職場で実現できるかどうかは分かりません。「確かにそれは理想かもしれないけれど、この社会状況の中で、自社ではそんな条件ではとても無理だ」と思われることもあるでしょう。だからこそ、大切なことは、「答え」を聞くことではなくて、職場づくりに携わるみなさまが「どのような職場を作りたいのか」という理想を考えていくことです。従業員の働きやすさを実現するために、会社としてどこまでの雇用管理制度を整えることができるのか、どういう条件であれば、自社のみなさんが働きやすいと思ってくれるのかを考えることです。

理想を考えるために

【ハード面】である雇用管理制度を考えることを含めて、理想とする職場づくりを考えることは容易なことではありません。時間をかけて考える必要がありますし、自分の中だけでは答えが出ないものなので、情報収集も必要です。従業員の方に「どんな雇用管理制度がほしい?」と聞くのも一つですし、他社との意見交換や時にはSNSを使った情報収集も有効だと思います。そうやって考えていく中で、自分が理想とする「働きやすい職場づくり」が実現されますし、自社の力のなかで出来る雇用管理制度を作ることができます。

今回は、「働きやすい職場づくり」のための一つ、【ハード面】としての「雇用管理制度」を考える、をお伝えしました。次回は、お金を使わずにできる職場環境づくりの【ソフト面】についてお伝えします。

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