失敗の報告は早いうちにを痛いほど経験した1週間
大分県で報連相研修を担当させていただいております。管理職研修では「報連相を受ける側」としての研修、新入社員研修では「報連相をする側」としての研修です。報連相研修をする側での新入社員研修では、「とにかく報連相は鮮度が命!だから早めにするんだよ!!」と口うるさく言いますし、「ミスやトラブルがあったときには、何よりも何よりも早く走って報告に行きなさい」と何度も言います。
そんな私ですが、先週からの1週間、自分が起こした失敗に関して、とんでもなく生きた心地のしない時間を過ごしてきました。「早く報告をしておけばよかった」を痛いほど身をもって経験をしました。
研修講師をやりながら、研修のない平日には地元の歯科医で歯科助手として働いていることは以前からお伝えしていますが、先週の水曜日に大きな失敗をしました。失敗そのものもあり得ないレベルの失敗だったのですが、私が犯した最大の失敗は、その失敗をすぐに報告しなかったことでした。
失敗をした次の瞬間「院長のところに報告に行かなければ」と思いました。でも、身体が動きませんでした。それは「また怒られる!」と思ったからです。それまでの数日、立て続けに院長に厳しく言われたり、ため息をつかれてたりすることが多く、その日の失敗を伝えてしまうと、自分に追い打ちをかけてしまうと思いました。失敗をした相手の患者さんは「気にしなくていいよ」と言ってくださっているし「このまま報告しなくてもいいか」という思いと「いや、これは報告をしなければいけない話だ」という思いが行ったり来たりしていました。そして、結局、私が院長に報告をしたのは、その失敗からずいぶんと時間が経った後でした。
それはそれは怒られました(当たり前)。その内容はどんなことがあってもすぐに報告に来るべき内容!!と注意を受けました(当たり前)。次回その患者さんがお見えになったら院長からも謝罪をしていただくことになりました。
たった一言も弁解の余地がない状況で、自分の保身だけを考え、怒られることにビビッてすぐに報告に行けなかった自分をとても恥じましたし、情けなく思いました。
これが先週の水曜日の出来事です。この出来事は私に衝撃を与えました。患者さんと歯科医院に迷惑をかけてしまったことは当たり前に申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、何よりも社会人としても経験も年齢もあって、そのうえ、「報連相研修」を担当させていただいている私が、自分の保身だけを考えて報連相ができないなんて、講師としての資格がないと相当に落ち込みました。またその日以来、歯科助手をしている時間は生きた心地がしませんでした。次にその患者さんが診療にお見えになる時に、再度謝罪をするけれど、「やっぱり患者さんは怒っているだろうか」「患者さんは嫌な思いをして、もう来なくなったりするだろうか」「院長が次回謝ってくださる時にまた怒られるだろうか」そんなことばかりを想像して過ごしていました。この1週間、毎日毎日、休みの日すらも気分が沈むばかりでした。
そして、本日、木曜日。患者様がお見えになりました。
お会いして一番に先週のことを謝罪しました。患者さまは笑ってくださいながら「いやいや、気にしないで、いいのよ、大丈夫」と言ってくださいました。そのあとにすぐに院長のところに行き「先週、ご迷惑をおかけした患者さまがお見えです」と報告、院長もすぐに患者さんに謝罪をしてくれました。患者さまは「そんなわざわざ。大したことではありません」と笑ってくださいました。
結論として、患者さまの大きな大きな器があり、私は許していただけました。
私が失敗をした時点ですぐに報告に行っていれば、この1週間は必要のない時間でした。失敗に落ち込む時間はもちろんあったでしょうが、あれこれ想像しながら悩む時間にはなっていなかったと思います。すぐに報告をして院長と一緒にすぐに謝罪をしていれば、グズグズと悩み続けたり、嫌な思いを引きずりすぎることはなかったと思います。
今回、自分の失敗から学んだことは2つ
①失敗こそすぐに報告する!
時間が経てばたつほど会社の不利益になる、上司の判断ができにくくなるというのはもちろんですが、自分自身が嫌な思いを長く引きずらなくて良いというのも大きな理由の一つになることを初めて知りました。その場でしっかりケリを付けていければ、失敗を反省したうえで次に進めるからです。自分が長く嫌な思いをしないためにも報告はすぐにやったほうがいい、ということです。
②人は保身に走る
研修講師として「報連相は絶対に必要!」とあれだけうるさく伝えている私は、今回、報告ができませんでした。それは自分が怒られたくない!ため息をつかれたくない!という思いがあったからほかなりません。社会人として、講師として、理性で「報告は必要」と考える頭と「でも怒られたくない」と逃げる心の両方を体験し、逃げる気持ち、保身の気持ちが勝ちました。それは、一般的にネガティブな情報に関する報連相が上司の耳に入りにくいことを身を持って経験したことでもありました。普段から本当によいコミュニケーションが取れていないとネガティブな報連相は入ってこないと思ったほうがいいということです。
研修講師としてこの話を共有するのは、実は勇気がいることです。そんな講師にはもう研修は依頼できない、と思われるかもしれません。でも勇気を出して共有します。報告ができなかったことで初めて「自分が嫌な思いをしないためにもすぐに報告したほうがいい」ということを学び、ネガティブな情報は本当に耳には入りにくいことを体験しました。そして何よりも自分自身の弱さを痛いほど知りました。
失敗の報告は早いほうがいい、これから報連相研修を担当させていただけることがあるならば、今まで以上に伝えていけると思っています。