働きやすい職場づくり【ソフト面】

先日、大分県佐伯市にお邪魔して「働きやすい職場づくり」のためのセミナーを担当させていただきました。厚生労働省からの委託事業として開催されているもので、佐伯市の事業所さまが約10社集まる集合型セミナーとなりました。

昨日は、そのセミナー内容から「働きやすい職場づくり」のための一つの要因として「雇用管理制度を整える」という【ハード面】のことを書きました。

働きやすい職場づくり【ハード面】

今日はもう一つの要因となる【ソフト面】のことをお伝えしたいと思います。

【ソフト面】は社内コミュニケーション

昨日の記事でもご紹介をしましたが、平成26年に厚生労働省が「働きやすい・働きがいのある職場づくり」プ ロジェクト企画委員会を設置し、中小企業における雇用管理制度等の実施状況と、「働きやすさ」「働きがい」との関係などを探るため、中小企業の人事担当者や従業員に対するアンケート の結果をまとめています。
働きやすい・働きがいのある 職場づくりに関する調査 報告書

この報告書でも「上司や同僚との適切な人間関係・円滑なコミュニケーション・上司が気軽に話せる・社員が互いに思いやりを持つ」ような人間関係を職場で作ることで、人材が定着し「働きやすい・働きがい」のある職場づくりを目指すことが書かれています。

この「社内での円滑なコミュニケーション」を実施していくことに関しては経費は掛かりませんし、大掛かりな仕掛けや時間がかかることでもありません。一人ひとりの意識をほんの少し変えるだけで実現出来ていくものです。そのようなことから、今回は「働きやすい職場づくり」を実践するための【ソフト面】として社内コミュニケーションの代表的なものである「報連相」と「職場内のありがとう探し」の二つをお伝えしました。

報連相

報連相がスムーズで活発な職場は人材の定着率も高い職場だと思っています。その理由としては、

【社員】
①報連相がスムーズにできると仕事での不安点や不明点をすぐに解決でき仕事に躓きにくい
②社内でのコミュニケーションが活発になるので孤独感を感じにくく、チーム内での自己効力感を得やすい
【会社(上司)】
①報連相を活発に行うことで、社員の仕事への取り組み方、必要な能力やスキルの見極めが早めにできるのでフォローがしやすい
②社内コミュニケーションが活発になることで、それぞれの個性や能力に応じた配置転換が可能となる

などが代表的なものになります。

報連相のカギを握るのは上司側

上記の理由をお伝えしたあとで、報連相の基本を確認しました。私は多くの企業さまで報連相研修を担当させていただいておりますが、多くの場合、報連相がスムーズに出来るかどうかのカギは上司側が握っていると思っています。報連相を含む社内コミュニケーションに関して、8割以上は上司側の問題です。新入社員や若手社員研修を担当させていただくと分かりますが、若手社員の皆さんは「報連相をしない」のではなく「報連相をしたいけど、タイミングが分からない」「上司が忙しそう」「上司が怖い顔をしている」などの理由でなかなか良い報連相ができていないことが分かります。だからこそ上司側が少し意識を変えることで社内の報連相は活発にもスムーズにもなっていきます。

上司が持つ5つのカギ

報連相をスムーズで活発にしていくために上司側ができることは5つあります。

①指示を出すときには同じ絵を見る
②曖昧言葉を使わない
③報連相は自ら取りに行く
④部下の仕事の責任を持つ
⑤報連相をすることへのハードルを上げない

セミナーでは上記の一つひとつを確認しながら、具体例をお伝えしていきました。また報連相を仕組み化するための「重要度と緊急度」の見極めについてもお伝えをして、実際にワークを通して体験していただきました。

ありがとう探し

【ソフト面】のもう一つは、「ありがとう」を伝える、伝え合うことです。ありがとうが多く飛び交う職場は、やはり人材の定着が良いと考えます。ありがとうをもらえる社員は、自分の仕事が見てもらえていることが分かりますし、感謝されることで職場での自己効力感を持つことができます。また上司側はメンバーひとりひとりにありがとうを伝えるために、一人ひとりの働きをしっかりと観ていくことになりますし、言動が目立ちにくい社員の働きに関しても評価ができます。

サンクスカードの効果

これは私自身の経験ですが、当時所属していた会社では、「サンクスカード」というものを送り合っていました。その会社を辞める前年は、一年間に1200枚以上のカードを書いて表彰をされたことがあります。このサンクスカードは当時「課長」という役職を持っていた私に大きな視点の転換をさせてくれました。サンクスカードを書く以前の自分は、目立つスタッフ、自分の周りでよく動いているスタッフのことしか見えていなかったことが分かったのです。サンクスカードを書いていると「言動が目立つAさんにはありがとうが10個言えるけど、あまり目立っていないBさんには4つしか言えない」というようなことが起こります。そうなった時に、本当にBさんには4つしかありがとうがないのか?と思いながら、Bさんの仕事を見てみます。そうすると自分が気が付いていなかった仕事をたくさんやってくれていたことに気が付きます。「毎日、湯呑を洗ってくれてたんだ」「電話はいつも一番に取ってくれる」「来客対応中のお茶もいつも運んでくれる」などなど当たり前になっていた日常が切り取られて「ありがとう」に変わっていきました

こんな経験をセミナーでも共有させていただきながら、社員側にも会社(上司)側にも大きな利点があるサンクスカードのご紹介をしました。そして、ワークでは普段みなさまが関わっているスタッフさんたちへのありがとうを書いてもらいました。

すぐに導入できる【ソフト面】

働きやすい職場づくりのための【ソフト面】の導入にお金はかかりません。社内コミュニケーションの一つである報連相を上司側が意識して受け取りやすくする、ありがとうを伝える、ただそれだけです。でも、その小さなことが大きな効果をもたらしてくれます。

セミナーの最後に名刺交換をさせていただいた方が

「働き方改革などが叫ばれていますが、残業時間を短くすればいいんだ、ということだけではなくて、こういう社内のコミュニケーションを変えていくことなんだと思っていました。だから今日のえがおさんのセミナーは本当に何度も何度も頷きました」

と言ってくださいました。

次回は「社員の能力を伸ばす人材育成」というテーマです。こちらもとても楽しみなセミナーです。

ご相談だけでもお気軽にどうぞ

社内コミュニケーションをもっと活発にしたい、報連相を改善したい、人材が定着しやすい職場づくりを進めたい、そんなことをお考えの企業のみなさま、小さな組織のための小さな研修を通して実現させていきませんか?お気軽にお問い合わせください。

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