みんなに見られている?みんなを見ている?(緊張しない視線の動かし方)
【質問】
大勢の前でスピーチやプレゼンをする場合、目線が定まらずキョロキョロしてしまいます。会場のどこを見て話をすればいいでしょうか?
現在は、大分県の企業さまに管理職研修、新入社員研修、全社研修などに伺っていますが、オンラインセミナーでは個人の方向けのコミュニケーションレッスンを開講しています。
セミナーは企業研修と違い、参加されるみなさまは「個人」でお申込みになるので、セミナー開講の当日までどのような背景(悩みや課題)をお持ちの方がいらっしゃるのか分かりません。ほとんどの場合は、セミナーでの90分間しか向き合う時間ありませんので、その短い時間でそれぞれの悩みや課題を解決すべくセミナーに集中しています。
今日はそんなセミナーでいただいた冒頭の質問に回答したいと思います。
大勢の人の前に立つときに目線が定まらずキョロキョロしてしまう。会場のどこを見て話をすれば良いのか、というご質問です。
大勢の人前(会場規模にもよりますが20名以上の場合)に立って話をする場合は「Z目線」で視線を動かしていきましょうとお伝えをしています。「Z目線」とは以下の写真のように、前に立った自分から見て「①会場左奥」⇒「②会場右奥」⇒「③会場左手前」⇒「④会場右手前」の順番で目線を動かしていくというものです。Z目線で会場全体を見渡していると、会場からみた登壇者は「堂々と落ち着いて」見えます。目線を動かすタイミングは「1センテンス」が終わってから。話の途中で目線を動かしてしまうと余計にキョロキョロしているように見えて逆効果です。
このZ目線は、会場全体の雰囲気をつかむことと同時に「自分の味方を探すこと」もできます。会場全体にゆっくり目を配りながら、前に立っている自分に対して「好意的に頷きながら話を聞いてくれている人」を探します。
自分の話は「うんうん」とうなずきながら好意的に聞いてもらえたほうが緊張せずに話すことができます。これはどんなに歴が長い講師であってもきっと同じことです。だからこそ、まずは自分にとって話しやすい人を会場の中で見つけて、自分の緊張が解けるまで、もしくは、自分の話のリズムに乗れるまで、その人に向かって話をしていくというものです。
段々と自分の緊張がほぐれて話がしやすくなったら、少し怖い顔をして座っている方のほうも向いてみると良いと思います。そうやって少しずつ会場全体の人の目を見て話ができるようになります(余談ですが怖い顔をして座っている人は登壇者の貴女を嫌いなわけではなく、ただ顔が怖いだけなのです笑)
先日のセミナーで「Z目線」をご紹介するとある方がこんな質問をしてくださいました。
「Z目線は良いと感じたけれど、会場を見渡してみんなの視線が自分に集まっていると思うと余計に緊張する気がする」
確かにその通りかもしれません。会場にいる20名以上の人から「見られている」と思うとそれはもちろん緊張します。講師歴が長い私も緊張すると思います。しかしここで大切なことは「矢印がどっちを向いているのか」ということです。「みんなに見られている」訳ではなく、会場の前に立っているあなたが「みんなを見ている」のです。
人の前に立って話をするときに、矢印が自分に向いていれば緊張をします。「よく見せたい」「高評価を得たい」そのように考えるとき矢印は自分の方向を向いています。しかし、どうしても伝えたいことがあって「会場にいる皆さまのためにこれを伝えたい」「少しでも皆さまのお役に立てる話をしたい」と会場にいる人のことを考える時には矢印は相手のほうを向いています。そうなると不思議と緊張をしていない自分に気づけるはずです。
大勢の人の前に立ってスピーチやプレゼンがある場合、矢印を相手に向けて、Z目線で会場中を見渡してみてください。落ち着いて自分の伝えるべきことが相手に伝わっていく経験ができると思います。
個人向けのレッスンも行っています。個人向けのレッスンはその方の悩みや課題に合わせてすべてオリジナルレッスンで行います。コミュニケーションに関すること、社会人スキルに関すること、就職、転職に関わること、どのようなことでも構いません。お気軽にご連絡ください。