誰に向かって仕事をするのか

ある動画を見ているときに「誰に向かって仕事をするか」というキーワードが出てきました。そのキーワードを聞きながらふと思い出したことがあります。今日はそんな「思い出話」をしてみたいと思います。

私のファーストキャリアは、医療事務としてスタートしました。医療事務の資格を取ってあちこち面接を受けましたが、経験者しか採用されないところが多く、唯一、未経験でもOKだったオープニングスタッフとして採用をしてくれるクリニックに入社をしました。

クリニックはオープンしてしばらくは穏やかな来院数でしたが、徐々に人気となっていき、毎日200名近くが来院する超人気クリニックとなりました。私は「受付」をしていましたが、毎日、来院する患者さんの名前を覚えて、必ず名前で呼ぶようにしていました(小児科だったのでお子さんの名前を呼んでいました)。

新患さんを除いて一日100名くらいのお子さんの名前はすべて覚えていましたし、新患さんも、次に来院したときにはすぐに名前を呼ぶようにしていました。毎回、自動ドアを開けて入った瞬間に「○○ちゃんおはよ~」と受付が名前を呼ぶので、ご家族にはとても驚かれていたものです。

クリニックは人気となり、毎日とても忙しかったのですが、やりがいもあり、とても楽しかったことを覚えています。しかし、クリニック内では一般的な企業と同じで時々はめんどくさい人間関係もありました。

2年くらいが経った時、クリニック内の人間関係が大変な時期があり、一緒に働いていた受付の子(同じ歳だった)と「一緒に退職しよう」と話をするようになりました。「毎日とても大変だよね。2年も仕事をしたしもういいよね。」「一緒に辞表を出そうね」と計画を立てていました。

そうやって、辞表を出すと決めて計画を立てていると、「もう辞めてやる」と思っているので、しばらくは気持ちが楽になっていたのですが、少しずつ「何か違う」と思うようになっていました。それは「辞めること」への違和感ではなく、「受付の子と一緒に、同時に辞める」ことへの違和感でした。

今ここで彼女と一緒に仕事をやめたとして、次の仕事も彼女と同じなわけではない、私の人生と彼女の人生は違うものなのに、今、ここで一緒に辞めるという選択をしていいのだろうか

そんなことを考えていたことを覚えています。そして

確かにクリニック内は大変な人間関係もある。でも私が向き合うべきは目の前にいる患者さまお一人おひとり。院長や婦長さんの顔色を伺いながら仕事をするのではなく、受付として患者さんお一人おひとりに提供できることに集中しよう

と考えることができました。

こう気づけた後に、私は彼女と一緒に辞めることを辞めました。彼女はそのタイミングで辞めましたが、私はそのあとも3年間仕事を続けて、多くの経験をしてきました。

それまでは、人と同じように生きていくことに安心感を覚えることが多かった人生でしたが、「私の人生と彼女の人生は違う」ということに気が付けたことは非常に大きかったと思っています。そして「誰に向かって仕事をするのか」という考え方は、その後別の会社で仕事をするときにも、自分を助けた言葉だったと思っています。

誰に向かって仕事をするのか、
今、みなさんは誰に向かって仕事をしていますか?そしてそこにはどんな価値が生まれているのでしょうか?みなさんが「誰に向かって」仕事をしているのかもぜひお聞かせください。

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