質問への「回答(質)」と「スピード」は別物

(お悩み)
上司や先輩と話しをしている時に、質問に答えなければいけないのだけど、考えがまとまらず、焦り始める。一度焦り出すと「早く何か言わなければ」と思ってますます緊張してきて、頭が真っ白になる。頭が真っ白になるとますます分からなくなって「え?質問何でしたっけ?」と聞いてしまう、これってどうすればいいですか?

新入社員研修や若手社員向けの研修を行っていると上記の質問を受けることがあります。皆さんにもこれに近い経験をされたことがあるかもしれません。特に、仕事などで上司や先輩と向かい合って座っていると、緊張の度合いが大きくなります。

今日はこの悩みについて考えてみたいと思います。

混同している二つのこと

この悩みには2つのことが混同していることにお気づきでしょうか?1つめは、「質問への回答(質)」、そして2つ目は「回答のスピード」です。答えからお伝えをすると、「質」と「スピード」は別物ということです。質は聞かれたこと(質問に対して)に「正しく」応えているか、スピードは「早く」回答ができたかということですので、これを混同してしまっては上記の悩みは解決できません。

質問への回答(質)

一般的に質問の回答(質)を考える時には、「聞かれたことに正しく答える」「相手の質問の意図を理解して相手のほしい情報を伝える」等を考えていけば良いかと思います。簡単な例で話をすると「好きな場所はどこですか?」と聞かれている時に「カレーライスです」などと意味不明なことを言ってしまうと「質問」と「回答」がちぐはぐになりますよね。

「好きな場所はどこですか」という質問に対しては「特定の場所ではないのですが、人が少ない海辺が好きです」という回答もあれば、「生まれ育った故郷にある●●海岸が好きです」という回答もあると思います。「場所」について聞かれているのであれば「場所」について回答をしなければいけません。

具体的な練習方法

私は大学生の就職支援をしていた頃に、「一言で答える練習」というものを学生と一緒にやっていました。これは相手の質問を正しく捉えて結論から答えるための練習です。例えば、以下のようなものです。

「アルバイトは何ですか?」⇒「コンビニエンスストアで働いています」
「好きな色は何色ですか?」⇒「赤です」
「好きな食べ物は何ですか?」⇒「メロンです」
「最近気になっているニュースは何ですか?」⇒「○○のニュースです」
「学生時代に頑張ったことは何ですか?」⇒「学園祭の実行委員会での活動です」

というように、質問を的確に捉えて一言で返していきます。これは、質問を正しくとらえることの練習と自分の結論を結び付ける練習です。

このように考えると質問をされて回答が浮かばない時には、「今、何について聞かれているのか」を考えて「正しく答える」ということを意識すると良いと思います。

回答のスピード

回答のスピードは、質問に対して、どれだけ早く回答できるかということですので、文字通り「スピード」です。質問をされたら間髪入れずに答えるのか、3分経ってから答えるのか、ということです。

私は、回答のスピードは何でも早ければ良いということでもないと思っています。例えば、夫婦で出かけた時に「お昼ご飯何食べようか」という質問に対しては「お蕎麦にしよう」と即答であることは問題ありませんが、夫婦や家族の「未来」についてや「高額なお金が必要な」話をしている時に「○○でいいよ」と即答をされると「ちゃんと考えてるの?」「私の質問は聞いてくれてた?」という話になることもあります。

即答をされることで、質問者は自分の質問があっても、なくても、回答が準備されたいたような気持ちにもなってしまいます。だから、私は、質問によっては即答をするよりも、少し考える時間があって答えたほうが良いこともあると思っています。

そう考えると、上司や先輩から聞かれた質問によっては、即答できなくても良いものもありますし、「即答をしないほうが良い」質問もあるというわけです。もしかしたら、相手も「今日はゆっくり時間をとって、考えを聴きたい」と思っていることもあるかもしれません。そんなときであれば、ますます質問の回答に関してスピードを意識しすぎることはありません。

2つのおススメ解決策

私は二つのことをおススメしています
①とりあえずできる範囲で回答をして「この回答で質問の意図はあっていますか?」と相手に聞く
②「今、考えています」「言いたいことはあるけれど、ちょっと整理をしています」「初めての質問でまったく考えが浮かばないので少し考える時間がほしいです」など、今の状況を実況中継する

このどちらかをやっていくようになると、質問の質とスピードを混同して焦ることはなくなります。①であれば、回答(質)に対して、相手に聞いていますので、相手に判断をしてもらうことができます。もし相手のほしい回答でなかったならば、きっと別の質問で聞き直しをしてくれるでしょう。②であれば、相手はあなたの状況が分かり「待ち」やすくなります。「今、話を整理しているんだな」「初めての質問だから考えてみているんだな」ということが分かると沈黙の時間を共有しやすくなるのです。

まとめ

相手と向き合っているときに、質問にうまく答えられず、早く答えなければと思うだけで焦ってきて、質問すら忘れてしまうような状況になってしまった時には、【回答(質)とスピードを分けて考える】ことを意識したうえで、【①回答したうえで質問の意図を聞き直す】【②実況中継をする】ということをやってみていただきたいと思っています。

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