【管理職の方へ】私が課長時代に学んだこと
【お悩み】
わが社では朝礼前に社員一斉で掃除をします。でも一部の社員は、営業準備をしていて掃除に参加しません。どうすれば全員参加型の掃除になるでしょうか?
ある管理職の方からいただいたお悩みなのですが、これはまさに私も、自身のサラリーマン時代に経験したことがある悩みです。
現在は、大分県でフリーの研修講師をしていますが3年前までは福岡の一般企業でサラリーマンとして研修講師をしていました。役職は課長でしたので、自分の業務(研修)をする以外に、部署のマネジメント、部下育成、部下面談などはもちろん、社内の総務・労務・経理などの業務全般を行っていました。
私がいた会社でも一斉掃除を行ってから朝礼(ラジオ体操付き)という流れがありました。朝の掃除は、新入社員も管理職も関係なく全員で掃除をするという決まりです。しかし、ある時期から若手中堅社員の掃除参加率が悪くなっていました。
「朝一番に伺う企業への資料ができていないので」
「印刷物がけっこうあって準備に時間がかかるので」
あれこれ”言い訳”をしながら、掃除時間になってもPCの前から離れないことが多くなっていました。新入社員たちは掃除をしていますが、若手中堅社員は忙しそうな顔をして(知らん顔で)自分の仕事をしています。
明らかに新入社員に対して良い影響にはならない態度でした。そんな態度をみながら「なんとかしなければ」と思い、当時の上司に相談をしたことがあります。上司の答えはとてもシンプルでした。
「課長が率先して掃除をするしかない」
そうです。私がどれだけ率先して掃除をしているか、その姿を見せていけるかということだけです。
実は、若手中堅社員が掃除に参加をしなくなった原因を作ったのは、当時彼らの上司であった私の影響が強かったのだと思います。当時、課長になりたての私は、課長になった自分を「特別」だと思い、「私は掃除をしなくてもいい」「私は彼らよりも忙しい」「私は彼らよりも重要度の高い仕事をしている」と思っていました。だから私自身が掃除に参加する日が少なくなっていました。
上司はそんな私をしっかり見抜いていました。「課長がやっていなければ、彼らもやらない」それは当たり前のことです。私だけは特別で彼らは特別ではないということは一切ないのです。
それから、私は、掃除の時間には率先して参加し、「さぁ掃除しよう!」と誰にもなく声をかけて掃除をしました。また掃除の時間に新入社員や若手社員に「おはよう」「調子はどう?」と声をかけてコミュニケーションを取るようになりました。
そうすると、今まで掃除参加率が低かった若手中堅社員も掃除に参加するようになってきました。自分の上長がすべて掃除に出ている、島に残って仕事をしているのは自分一人、という状況で自分を見直すことができていたのかもしれません。
この経験は私にとって大きな経験でした。当時の私は本当にたくさんの業務を抱えていましたが、しかし、それはほかの人たちにとっても同じこと。自分だけが特別ではない、ということを腹落ちさせる経験となりました。もちろん役職の違いによって、それぞれが抱える仕事の難易度や量は変わりますが、それは自分が特別である言い訳にはならないのです。
もし、今、ご自身の部署やチーム作りで悩んでおられる管理職の方がいらっしゃったら、ぜひ一度、チームの中でも自分の立ち回りを見直してみてください。自分が自分の上司だったら、どんなフィードバックをすると思いますか?
私は、企業に伺って実施する管理職研修では、このように「当たり前だけどできていないこと」「とてもシンプルだけど行動につながっていないこと」をお伝えしています。人材定着のための職場づくりや人材育成の基礎はとてもシンプルなことだと思っているからです。
職場づくりの基礎を見直したい方、自分や自分の部署・チームを客観的に見つめ直したいとお考えの方、お気軽にご連絡ください。