部下育成 3つの注意点

管理職研修で多いお困りの声

「チームメンバーと面談をして成長目標の話をするけど、いまいち伝わっていない」
「部下育成を頑張っているけど、思ったように成果が上がっていない気がする」

こんな悩みをお持ちの管理職の方は多いのではないでしょうか?
今日はそのお悩みに少しだけのヒントになればと願っております。

最近は、管理職研修を担当させていただくことが多くなり、冒頭に書いたご意見をいただくことも多くなりました。どの企業も採用後の人材育成と人材定着は大きな課題となっています。ある担当者さんは「昔は辞めますと言われたら、次の人を採用すれば済む話だった。でも今は次の人がいない。採用をしたら、長く会社にいてもらいたい」とおっしゃっていました。

上記のような悩みを聞く管理職研修の場合「部下教育」というテーマのリクエストを多くいただきます(「部下教育」という言葉は個人的に好きではありませんが、今日はこの言葉を使っていきます)。

部下育成とは何か

そもそも「部下育成」とは何なのでしょうか?
部下、もしくはメンバーを「育成」するとは、どういうことか。
社内でいう「育成」とは「会社が求める成果を出せる人になってね、そのために会社も育てていきますよ」ということです。この点で注意すべき点を今日はお伝えします。

部下育成 注意点その1

①成長の基準を明確にする
「会社が求める成果を出せる人」というのは会社によって基準が違いますし、部署(事業)によっても変わってきます。そしてその成果を出せる人になるためには5つのステップが存在します(松尾睦先生の熟達の5段階モデル参照
1)初心者:原則を理解しているが状況の違いが分からない
2)見習い:状況が少しずつ見えてくるが先輩や上司の指導が必要
3)一人前:未熟さは残るが一通りのことは一人でできる
4)中堅:あいまいな状況の違いに対応することができる
5)塾達者:状況を的確に判断し直感的に正確な判断ができる

上記の熟達の5段階モデルに当てはめて、どこまでの成果をどの段階で求めていくのか、というような「基準」を明確にすることが必要です。「何を、いつまでに、どこまで、できるようになっていてほしいか」ということです。ここを曖昧にしたまま「成長しない」と嘆いても仕方がありません。

この「何を、いつまでに、どこまで、できるようになっていてほしいか」ということを考えることは、簡単なことではありません。すべての仕事を細分化し、それを達成するためには、どのような能力(行動)が必要かを考えていく必要があります。これは個人一人で行う作業というよりは会社全体で取り組むべきことです。とても大変な作業ではありますが、これは一度作成できれば、その後は非常に楽になります。

部下育成 注意点その2

②相手へ期待値を明確に提示する
上記の基準が明確になったら、相手(部下)に対してそれを明確に伝えます。「あなたには今から1年後である来年の春までに、○○を××までできるようになっていてほしい」ということを明確にします。部下も自分が何を期待されているのか、という「目標」が見えることによって自分で考えて動く力が出てきます。

部下育成 注意点その3

③アドバイスをするときは「動詞」を使う
そのうえで、部下にアドバイスをしたり、改善行動を促すときには、「動詞」を使って伝えていきます。大目標が「新規お客様への訪問件数を月に3件は行う」というものであれば、その目標を達成するために、「テレアポ3件の成約」を中目標にします。そして、テレアポ3件の成約を達成するために、一日に何件の電話をかければよいのかを考え、小目標にします。そして具体的に「一日30件の電話を午前中に集中してかける」というような「それを読む(聞く)だけで何をすればよいか分かる」ように動詞で伝えます。このような話は、様々な書籍でも紹介されていますが、これは「理想とされる人物像」になるためにも有効です。

例えば、入社3年目、後輩がいる社員に「先輩としての自覚を持ってもらいたい」という人物像の目標を共有する場合、先輩としての自覚を持つために何をすればよいかという行動を考えていきます。「後輩の仕事を見るために自分から後輩に一日2回は声をかける」「後輩が頑張って仕事をしていることを承認するために、後輩一人につき3つのありがとうを毎日書き出す」「出社時の挨拶は後輩の名前をセットにする」など「どのような人になってほしいか」ということに対しても「動詞」で話をしていきます。

こうすることで、本人は具体的にどう動けばよいのかが分かります。例えばこれが「先輩の自覚を持つように」と言われただけであれば本人が「自覚は持っています」と言ってしまえばそれで終わりです。会社が求める「自覚」と本人の「自覚」には差があるまま平行線となります。

この時の注意点としては「行動」が目的にならないこと。先ほどの例でいえば、「先輩の自覚を持つ」ために行動することはあくまでも「手段」です。こんな行動を取っていけば「先輩としての立ち居振る舞いができているよ」「そのように見えるよ」というだけです。本人の気持ち(本当の意味での自覚)が伴っていないと「やらされている」だけになってしまいますし、心のない行動だけになってしまい、それほど悲しいことはありません。この場合は、どのようなマインドでいてほしいか、どのような価値観を持っていてほしいかも丁寧に会話を繰り返していく必要があります。

いかがでしょうか?
部下育成、メンバー育成がうまくいっていないとお考えの方は、もう一度、その手順を見直してみてください。

研修に関するご相談はお気軽にどうぞ。研修が必要かどうか、どのタイミングで研修を行うと良いかなどをヒアリングしながらお話しさせていただきます。ご相談は「お問合せ」までお気軽にどうぞ。

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