新入社員研修を担当される皆さまに知っておいていただきたいこと

福岡在住のころは、新入社員研修を担当させていただくことが多くありました。入社からの1年間、毎月、テーマを変えて担当する研修や、3日間の集合型研修など、さまざまな研修を担当してきました。

その中で、思い出に残るエピソードがあります。ぜひ、新入社員研修を担当されるすべての方に知っておいていただきたいと思っています。

ある年の5月。年間を通した新入社員研修の第2回目のことでした。
4月1日に入社式を終え、第1回目の新入社員研修を終え、日々の業務を忙しく過ごし、GWでちょっと一息ついて、5月半ばに差し掛かったころの研修だったと記憶しています。

「入社から1か月が過ぎました。いかがですか?」という質問をすると、
「毎朝、決まった時間に起きることがこんなにつらいと思いませんでした」という大学生の生活との違いに戸惑う声や、
「覚えることが多すぎて、毎日とても大変です」という一生懸命仕事をしていることが伝わる声が聞こえてきました。

その中で、ある新入社員の言葉
仕事を楽しめない自分が苦しいです」という回答がありました。
もう少し詳しく聞いてみると
仕事は楽しいものと先輩に聞いて来た。私の周りもキラキラ輝いて働いている人が多い。でも、今の私はまだ仕事が楽しいとは思えない。仕事を楽しんでいない自分はダメだと思う。苦しい
と、今にも泣きだしてしまいそうな顔をしていました。

仕事は楽しいものだと聞いてきた。
でも、入社して1か月半、仕事を楽しいと思えない自分がいる。
そんな自分を自己否定して、苦しくなっている。

彼女の話を聞きながら、とても気の毒な気持ちになってしまいました。

入社してたかだか1か月半。「仕事が楽しい」だなんて言える状態ではなくて当たり前です。まだ、仕事が楽しいか、楽しくないかもわからない状態、何がなんだかわからない状態で終わっていくだけの毎日だったと思います。

きっと彼女は、入社を決めた時に、先輩社員が仕事を楽しんでいる姿に憧れていたでしょうし、例えば、SNSを見ても、キラキラした社会人が溢れているように思えたのでしょう。でもその先輩もSNSのキラキラした人たちも、入社1か月半からキラキラしていたわけではなく、苦しさや大変さを何度も経験しながら、少しずつ仕事が楽しくなり、キラキラとしてきたはずです。もしかしたら、キラキラしている今でも、その裏にはたくさんの苦労があり、仕事での苦しみがあるはずです。

「仕事が楽しいだなんて思えなくて当たり前だよ」とお話しをすると、少し安心した表情になってくれました。

この春、新入社員研修を担当される皆さま。
「キラキラしていなければならない」と思い込み、苦しんでいる新入社員さんがいないかどうか、どうぞ気を付けてみてあげて下さい。そして、苦しんでいる新入社員さんには声をかけてあげて下さい。「今の苦しみは正解だよ」と。

キラキラしておかなくてはいけない、と強迫観念のようになってしまっている新入社員の呪縛を解いて、まずは仕事を自分のものにしていくための時間(そしてそれがのちにキラキラに変わっていく)に集中していくことを伝えていきたいなっと思えた忘れられない研修でした。

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