組織の主体性を奪うリーダーシップ

ある経営者のお悩みは「従業員に主体性がない。計画もまったく立てなくて準備が悪い」というものでした。

その企業はサービス業、一般のお客様をお迎えするイベントなどを企画していますが、従業員が計画を立てて準備をすることもないし、反省や改善をすることもない、だから毎年同じようなミスをするし、いつも準備がバタバタになっている、というお話しでした。

最初にこのお話しを聞いたときには「なぜ計画を立てて段取りよく準備ができないんだろう??」「反省会を開いて改善をするための方法が分からないのかな」などとあれこれ想像をしていました。

「なんとかこの状態を変えたい。従業員を成長させたいから力を貸してほしい」という話になり、この経営者のもとで少しの間、仕事をさせていただくことになったのですが、従業員に主体性がない理由はすぐに見つかりました。

日々の業務において、どんな小さなことでも、すべてにおいて、経営者が「指示」をするのです。仕事のことはもちろんですが、食事の内容、休日の過ごし方まで経営者が口を出します。

あるイベントの準備中。従業員のみんなと話をして、今回はみんなで計画を立てて準備をしようということに決まりました。本番まで週に1回以上のMTGを重ね、話し合いを進めていきます。みんなからは思った以上に主体的なアイデアが生まれ、とても良い雰囲気で準備が進んでいました。

そして当日。それぞれが準備に疲れながらも「さぁいくぞ~」と気合が入っていた最終MTGのことした。

最終MTGに入ってきた経営者の一言で、いろんなものがひっくり返っていきます。計画していた場所も経営者の一言で変更、考えていたタイムスケジュールも経営者の一言で変更、当日の朝、経営者の一言でいろんなことが変更になりました。

それまでの期間、経営者には、みんなで立てた計画を含め途中経過を報告していたにも関わらず。。。です。

なるほど。計画を立てないわけです。
計画を立てても、すべて当日に変更になります。それでは計画を立てる意味がありません。

主体性がないと言われていた従業員たちですが、その場で様々な物事に対応する現場力には長けていました。急な変更に即対応できる力は十分にあったように思います。

主体性がない、計画性がない、だからそれをどうにかしたいとお考えの経営者でしたが、従業員からの主体性や計画性を奪っているのはほかでもないその人自身だったのです。「任せていく」「やらせてみる」そんなことをやっていかない限り、いつまでたっても主体性は身につきません。

ここまで極端なリーダーは少ないかもしれませんが、でももし自分の組織に主体性が足りないと思っておられるリーダーがいらっしゃったら、少しだけ自分と組織の関わり方を観察して頂きたいと思います。

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