PDCAの「C]と「A」に力を入れない研修

自分たちで決めたルールを検証し、改善行動を考える。
PDCAは特に「C」と「A」が重要なので、その二つに時間をかける。研修だけではなく多くのビジネスの世界では「当たり前」のことです。

しかし今回、この「当たり前」をあえてやらない研修をやってみました。

大分県にある福祉業界のとある施設で担当をさせていただいている「理念研修」
第2回目は「チームで働くこと」をテーマに、各事業部で「業務を円滑に進めるためのルール作り」を行いました。みなさんが自分たちで考えたルールには、【報連相を徹底する、優先順位を付ける、笑顔で挨拶】などなど、どれも大切なものが並んでいました。

第3回目の研修では、前回から1か月、このルールが守られていたかの確認を行っています。みなさんの答えは平均して「75%」。中には50%という所もありました。

私が行う通常の研修であればここでガッツリと「詰めます」。「なぜできなかったのか?」を一人ひとりに検証をしてもらい、「どうすればできるようになるのか」を考え、「具体的にどんな行動をすればいいのか」を言語化していきます。

しかし今回、研修を担当させていただいている施設のスタッフさん方の勤務年数は3年以下です。最長の方で5年。まだ入社半年という方もおられます。組織メンバーとしての意識も、事業部のチームメンバーとしての意識もまだしっかりと固まっておられない方がほとんどでした。そして、今回のような研修に参加されるのも初めての方ばかり。言ってみれば、まだとても柔らかい組織です。

そんな時に自分たちで作ったルールについて「詰められる」研修を受けてしまうとちょっと息苦しさを感じてしまうのではないか、、、スタッフさんたちの様子をみてそう考え、「なぜできなかったのか」「どうすればできるようになるのか」のワークをすっぱりと切り落としました。

もちろん事前に研修のオーダーをいただいた施設の理事長にご相談。
「振り返りの後に、「検証」や「改善」がないので、とても気持ちの悪い研修ですが、スタッフさんが息の詰まる思いをしないためです」とお話しをしました。理事長からは「あなたの判断を信じてやってください」とのお返事。その通りにやらせていただきました。

第3回目の内容は「チームの5年後・10年後を考える」テーマでしたので、前回の検証も改善もほとんどないままに、チームの未来を考える研修に入りみなさんにワークをしていただきました。

これが、大盛り上がり。まだ入社間もないスタッフさんがほとんどですが、自分たちがどんなチームになりたいか、どんなサービスをこれからご提供していきたいか、ワクワクしながらお話しをしてくださいました。

研修最後に「このワクワクする未来を実現していくためにも、みんなで決めたルールを一つずつ守っていきましょう」とお伝えして研修を終えました。

スタッフさんが研修アンケートに書いてくださった言葉が、今回の研修をすべて物語ってくれていて、とてもうれしく思っています。
「ルールづくりは決して自分たちを縛るためのものではないと思った。利用者さんため、チームで支援していくためにルールづくりをするのだと感じた」

「当たり前」に縛られない研修をこれからも続けていきたいと思っています。

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